心技体一致という考え方

 施術を行う時に本当に重要なことは何かと言うことを徹底的に突き詰めますと、施術に関する様々な技術も必要なのですが、それ以上にどのように物事を考え、認識をし、どのように観るかと言うことが最も重要になります。

 要は人間観がどのようなものであるか、原理をどのように理解をしているかと言うことです。

 私の場合、人間観る時に少なくとも「身、技、体」の三方向から分析をし、それを総合的に理解をして判断をします。

 「心技体」は分けて考えるのも重要なのですが、それらが絡み合っていると考える事も重要です。西洋的な考え方では、「フィジカル」、「テクニック」、「メンタル」とトレーニングを分けてしまうことがほとんどですが、それでは上手くいかないのです。

 実際に何かの「技」を練習しても、実際に使うのは「体」になります。そしてその「体」をどのように使うかというのは「心」となります。また、「心」に思い描いたものを実際に表現するのは「技」なのです。それらを相手が一番分かり易い方向から説明をするわけです。

 かなり単純化して話をしておりますが、実際に指導するには「技」の指導をする時には、角度を変えて「体」の使い方を変えるよう指導したり、どのように技を考えるか、イメージ、認識をするかといった「心」の指導から入った方が早い場合もあります。

 技の指導一つとっても、実際にどのような手順で腕を動かすかなどの指導をしていると、経験上どうしても上手くいかないのです。

 今の話は空手などの具体的な「技術体系」の指導の話ですが、施術の際にも全く同じ考え方を出来るかと言う話です。

 施術の場合は特に「体」の調整がメインになりますが、それだけでは上手くいかない場合も多く、歩行や呼吸、腕や足の動かし方などの「技」がおかしい為、「体」に負荷がかかっている事がよくあります。
 またどのようにものを考えたり認識をしたりという「心」の問題で「体」に負荷がかかることもあるのです。

 こういった分析的思考と統合的思考を自由自在に使いこなせるかが最も重要なポイントとなるのです。

 これらは武道では「心技体一致」と言ったり、仏教では「一身即三、三身即一、十如是、一念三千」など様々な表現が存在します。

 これらは本物の極意となりますが、要はこういった昔から存在する「心」の極意を使いこなせるかが重要であると言うことです。

 私は様々な技術などより、こういった考え方を覚えていくことの方が実践的であると考えております。